自由が丘、二子玉川の歯科、歯医者なら尾山台歯科クリニック

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対談・入れ歯について

対談・入れ歯について

 

今回川元先生には、入れ歯という大きなテーマを基に、大きく三つのことについてお話を伺えればと思っています。
一つ目は歯医者さんと患者さんの良い関係について。尾山台歯科クリニックにおける、クリニック側と患者さんの基本的な関係性とはどのようなものなのかということについてです。

大工さんと自動車のメンテナンスを例にとれば、痛いからちょっと修理してもらって終わりということでもないであろうと、素人なりに考えているわけです。医療にとって、本来どのような関係性が望ましいのか。また、患者さんとの間にどのようなコミュニケーションがあるのか、治療前の患者さんにどういうご理解をいただいたり、どういう情報を発信したりなさっているのかということです。ひとりの患者の立場で伺ってみたいわけです。

二つ目は、私はもともと企業の市場調査でインタビューを手掛けているので、プロダクトやサービスをお客さんに受け入れてもらえるように、どのように改善しようかといったお話を伺っているのです。今日は、歯医者さんの治療をサービスと捉えた場合、どういうことがサービスなのか。そんな部分がお聞きできたらと考えています。

三つ目は、歯医者さんの未来です。今の時代、これからの時代、歯医者さんはどうあるべきなのかということです。同時に、一患者として私は、どのように歯医者さんと付き合えば良いのかを考えてみたいと思っています。

 

歯医者さんの仕事は、噛む機能の回復。

川元院長:
私が得意としている治療は、噛むための機能回復です。被せてみたり、植えてみたり、はめてみたり(笑い)ということが、得意と言えば得意です。その中でも入れ歯です。それなりの症例数をこなしているということもありますし、入れ歯は好きです。

菅野:
今、好きと仰られましたが、どういうことですか?

川元院長:
入れ歯の中でもいろいろあります。入れ歯というと、皆さんは所謂総入れ歯を思い浮かべて、外すと歯がない状態をイメージされます。しかし、患者さんのニーズとして圧倒的に多いのは、一部分の歯が欠損しているのに対して歯を入れなければならない、所謂部分入れ歯です。また、部分入れ歯のほうが、実は圧倒的に治療の難易度が高いのです。
多くの場合、無くなった歯は何らかの理由があって失われているわけで、不利な状況下で歯を獲得することが多いのです。

家の場合に喩えると、中古の家があったとします。全体として悪くはないが、柱の一部の状態が悪いとします。本来は全部リフォームし、真っさらなところに新たに作ってしまった方が難易度も低いだろうし、獲得できる状況というのはより良いものになるかもしれない。

ところが、患者さんの口の中に歯が何本か残っている場合、全部真っさらにしたほうがきれいになるし、こちらの都合でやりやすいというわけにはいきませんよね。一部残っているものを活かしながら、患者さんにとって満足を得られる状況を獲得していくことは、相反する条件の中で治療技術を駆使しなくてはならないため難しいのです。

入れ歯は構造力学的な部分を考えてやらなければならない、歯科の中でもかなり特殊な分野です。そこにはやり甲斐があると感じていますので、好きという表現になるのかもしれません。

 

菅野:
ここまでのお話で、一患者として、認識が違っていたという部分が既に二点ありました。一つ目は、冒頭にありました、先生が行っている治療は「噛む機能の回復」であるということ。二つ目は、部分入れ歯のほうが難易度が高いということです。

私のような一般の患者は、たぶんそうは考えていないです。痛くなったので痛みを止めてもらいたいとか、歯が失われたから元に戻したいとか、ということだと思います。患者さんが素直に求めているニーズは、おそらくそういったことであろうと思うわけです。

ではなぜ元に戻したいのかと言えば、確かに噛む機能を回復させるためで、無くなったから有るようにすれば良いという話ではないわけで、そのあたりの理解や認識の深さは、一般の患者さんは浅いということを改めて感じました。

そういった点は、実際の歯科医療の現場で患者さんとコミュニケーションをなさると思うのですが、患者さんの認識や理解の不足をお感じになることはございますか?

自由が丘,入れ歯,義歯川元院長:
それはよくあります。例えば歯がなくなったときに、歯を再建する代替治療法はいくつかありますが、特にインプラントはここ数年、様々なメディアで様々な情報が出ているので、患者さんが思い込みで「インプラントにしなければいけないのでしょ?」とか「ブリッジにしなければいけないのでしょうけれど、健康な歯を削りたくないから・・・」というようなことが凄く多いです。

歯医者の仕事は咬合機能の獲得なのです。歯を獲得する治療の選択肢には、インプラント、入れ歯、ブリッジ、場合によっては歯の移植などがあります。実はどれも甲乙つけ難く、その患者さんによってどの治療法が最適かを判断し、治療を行っています。

インプラントに関しては、風潮として、やはり良くも悪くも一人歩きしているように感じています。

実際のところはインプラント治療があることで、入れ歯やブリッジでは対応しきれないような患者さんを大勢救うことができました。しかし、治療費が高かったり、患者さんの症状によっては対応できない場合などもあるので、全ての患者さんに適応できるわけではありません。

歯を失ったからインプラント!ではなく、歯科医として冷静に患者さんの適応症を見極め、どの代替治療法を選択し、最適な提案をすることが今は大切だと考えています。

私自身も、開業前はインプラントセンターというインプラントをたくさん手掛ける歯科医院にいました。勤務医時代の後半は、入れ歯のことについていろいろ教えてくれる師匠のような方に巡り会って、自分で手掛けるインプラントと入れ歯の割合が同じくらいか、徐々に入れ歯のケースのほうが多くなっていきました。

 

菅野:
患者さん側もインターネットなどで、自ら情報を得るようになりましたが、それは全体的なものではなく部分的にあれこれ情報を手にしているだけなので、先ほど先生が仰った噛む機能を取り戻すためという本来の目的のためにどの治療法がベストな治療法なのかは、患者さん自身には判断しにくいわけですね。

そうすると、患者さんの頭の中で固まってしまっていたり思い込んでしまっていたりする部分を崩す作業というのが、先生には必要になってくるということですね。所謂、説得と納得です。実はそこが、歯医者さんにとって大変で重要な作業の一つなのではないかと思うのですが。

情報がどのようなかたちで発信されるべきなのか、どんな情報が発信されるべきなのか、場合によっては多角的な見解の情報が組み合わされて発信されるべきではないかと思うのですが、川元先生のお考えはいかがでしょうか?

川元院長:
元々患者さんには罪はないのです。まず、開業するときに強く思っていたことは、「インプラントセンターとは名乗るまい!」ということです。以前そういうところに勤めていたということもありますし、インプラントだけが歯科治療ではないからです。

インプラントは上手に使えば素晴らしい治療法ですが、歯を失った代替治療としては、入れ歯もあるし、ブリッジもある。大切なのは、先ほども申し上げた通り、患者さんの状況に合わせて最適な治療方法を検討、提案することだと考えています。



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